大黒柱選定・伐採......木本祭(このもとさい)
お施主さんと一緒にこれから建てるお家の柱を探しに、秦野のヤビツ峠の山に出かけました。
材木屋のキリガヤとしてもっと日本の木を大事にしていきたいと考えています。
木材の自給率は昭和30年は95%であったのに、55年後の平成22年には26%まで下がっています。
要は輸入材に頼った家づくりになっています。
原因は様々ですが、国も10年後には自給率を50%にもっていこうと考えています。
私たちも木に携わる者として、日本の山を守り育てていくことに力を注ぐべきと強く思います。
そんなこともあり、家を建てようとする人と一緒に山に入り、木を選び、それをご自宅の大黒柱に使ってもらおうという提案をしています。実はすでに知り合いの仲間に先駆者がいて、その考えに私も賛同して初めて実現しました。
その儀式は「木本祭(このもとさい)」と名づけました。
命名者はいつも地鎮祭をお願いしている猿田彦神社の宮司です。
これは伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮の時に、心御柱を伐採する祭の儀式に由来します。
そのくらい大事にしていきたいと思いを込めています。
今回は事前に私らで山に入り、選定しました。
山ではお施主さんと杉やヒノキの話しをしながら歩を進めました。
これは杉ではなくヒノキの花粉です。
私は花粉症なので、今の時期はちょっとつらいものもありますが、やはり山の空気はすばらしいものですね。
実際に葉っぱで違いが分かる方は少ないのです。
大人も子供さんも興味津々です。
事前に三本の木を候補にし、当日はお施主さんに木の様子を説明し、ご自分たちで決定してもらいます。
これぞと思うのに決めてもらうと、しめ縄を飾り記念写真
米、塩、酒でお祓いをして、いざ伐倒。
今回は森林組合のはからいで、お施主さんもチェーンソーを入れました。
プロは手際よく倒します。
木と木の間を見据えて、そこを目掛けて倒す。
見事なものです。
時には思いがけないことでの事故もあるものです。
年輪を数えました。
このヒノキは73年生でした。
この後もお施主様の家で、さらに70年100年と住み続けていく仲間になりました。
記念にお施主さんのご家族の写真です。
ついでに私の63回目の誕生日にも重なっていて、社員がポップを用意をしてくれていました。
思い出に残る誕生記念の「木本祭」となりました。
次は丸太から大黒に挽くときも製材所に一緒に行って、その様子を体験してもらうことにしています。
世界でひとつのマイホームを、山から製材から、建て方から完成までを家族で見届けてもらおうと考えています。
材木屋の役割として、これからも日本の森林の活性化、木材自給率の向上に少しでもお役に立てればと思います。
山に行きませんか!!!